西田哲学の発展として同一性の非同一性の同一性というものがある。
ヘーゲルは『非同一性の同一性』という相異なる概念同士を統合したものを構想した。弁証法的に定概念と別の概念とを統合し、正反合ないし正々反合の構成を企図し、合の導出がヘーゲルの課題であった。
この合とはアウフヘーベンによるジンテーゼと同一であり、止揚されたものである。
西田は絶対矛盾的自己同一という概念を提起する。絶対に矛盾するものと別のものを両方抱えて同一的となる、と考えた。
絶対矛盾の例として石の上に宝石と爆弾を置いて、プレゼントするかのような、それでも危害を与えそうで危ない、そんな絶対矛盾の感じがある。これはヘーゲルの用意した矛盾ではなく絶対矛盾と称され、さらに絶対矛盾の際に"合"はないとされた。
絶対矛盾を絶対矛盾のまま一体化を目指し、自己内に両方を取り入れ、第三の概念をも絶対矛盾的自己同一の一因とし取り入れることが懸念される。
『天』のことを毎日考え続けることは可能ですが、天に一歩一歩近づいていくわけでもない。ある日突然『我は天なり』と直観でしたためる。このように純粋直観で精確にいわば答えを齎すことが加味される。